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2012年9月13日木曜日

OTODAMA'11-'12 (2012/09/08)~その2~

※注※ これは、ライブレポではありません。
超個人的なセンチメンタル日記です。



佐野元春 & THE COYOTE BAND
もっとステージの近くまで行けそうだったんだけれど、
次の子供ばんどのステージへ、急いで移動することを考えて、
ほどほどの距離をキープ。
すごくドキドキしながら待っていた。
生で元春を観られるなんて・・・。

コヨーテバンドの演奏でライブが始まり、更に胸が高鳴る。
そして、元春!!
グレイッシュで綺麗な色の髪にサングラス、間違いなく元春だ。

私にとって、佐野元春というのは、生身の人間というより、
物語の登場人物のような、架空の存在に近い認識だったのだ。
それが、今、フィクションの中から飛び出してきて、
私の目の前に立っているなんて。
そんな独特の感慨に浸っていたのだが、もしかしたら、
私の方が、どこかの物語世界へ入り込んでしまったのかもしれない。

実は『No Damage』以外のアルバムをちゃんと聴いたことがない。
あれほど夢中になって聴いていたにもかかわらず、
他のアルバムをなぜ追いかけなかったのか、今となっては
どんな理由があったのか、さっぱり思い出せない。
今、改めて『No Damage』を聴き返してみて感じるのは、
バラエティに富みながらも、一貫した世界観があるということ。
まとまりが良くて、完結しているのだ。
ベスト盤なのに、不思議。
あまりにも綺麗に、綻びもなく、完結しているが故に、
それ以上のものが必要なかったのかもしれない。
良い言い方ではないが、“閉じた”名盤だったのだ。私にとっては。

そう。
その閉じた世界の主人公が、佐野元春。

前半は、ステージに出てきてから、一言も喋らず、
淀みなく淡々と、けれど熱く、元春は歌い続けていた。
その中の一曲が、とても印象に残っている。
後で調べてみると、まだ音源化されていないらしいのだが、
『虹をつかむまで』という曲。
歌詞さえはっきり覚えていないのだけれど、
すごく大きな歌で、これまで歩いてきた道のりは間違ってない、と
優しく肯定してくれてるように思えた。

『約束の橋』はドラマの主題歌になってヒットした曲。
そのドラマは見ていなかったけれど、よく耳にしていたはず。
でも、その当時は、私の心の中にまで届いてはこなかった。
何十年かぶりに邂逅することとなった元春の歌声は、
今しっかりと、胸に突き刺さり、どうしようもなく泣けてきた。

もうこれで十分だと思ったとき、元春が喋り始めた。

「僕のキャリアの最初の頃に作った曲です。
もし、知ってる人がいたら、一緒に歌ってください。」


あの閉じた世界の中で、
何百回と聴いたピアノの旋律が聴こえてきた瞬間、
体が、心が、震えた。
『サムデイ』
あー、ダメだ。
今、この文章を書きながら、思い出しただけで涙が溢れてくる。

嬉しかった、とか、感動した、とか、
そんな生易しい表現じゃ、ぜんぜん足りない。
長い間、閉じていた世界が開かれて、一気に現実へと溢れ出し、
激流のようなダイナミックなカタルシスが起こったのだ。

声を上げずに泣くのに苦労するほどの号泣っぷりは、
まわりの人を驚かせてしまったのではないかと、恥ずかしくなる。

猥雑で、理不尽で、問題山積みの
どうしようもない世界に私は立っていて、
つまらない大人になってしまったかもしれないけれど、
まだまだ、ただのスクラップにはなっていないつもり。
だって、まだ、元春のロックンロールで泣けるんだもの。
15才の私よ、
長いこと生きて、つまらない大人になるのも、そう悪くないぞ。
今なら、胸を張ってそう言えそうだ。

ありがとう、元春。



ここで、大浴場を離れて、露天風呂へ向かうことにした。
十分満足したから。

『ダウンタウンボーイ』も何かの主題歌だったっけ?
なんてことを考えながら、移動して、
露天風呂で、子供ばんど待ちしながら、大浴場の音を聴いていた。
そこで、聴こえてきたのが『アンジェリーナ』!!!
えええーーっ!!?そんなぁ・・・。

人間とは欲深いものだ。
『サムデイ』で、これ以上望むものはない、と大満足して、
あの場を離れたはずだったのに、それ以上が、あったのだ。

焦がれる気持ちを隠しきれず、サビの部分を小声で歌っていたら、
私以外の小さな声も聴こえてきた。
見回すと、同じように小声で歌ってる人が数人いた。
子供ばんどファンということは、ほぼ同世代だから、
当然、元春だって聴いてたよね。
別に言葉を交わしたわけではないけれど、
同じ想いの人がいると思うと、なんだか嬉しくなってしまった。

いつか、ちゃんと『アンジェリーナ』を聴こう。
きっと、その機会は訪れるはずだ。
閉じていた世界は、開かれたのだから。


0.COYOTE Theme 2012
1.ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
2.La Vita e Bella
3.虹をつかむまで
4.警告どおり、計画どおり
5.僕にできることは
6.約束の橋
7.サムデイ
8.ダウンタウンボーイ
9.アンジェリーナ



こんな調子で、最後までたどり着けるのか、とても不安。

2 件のコメント:

  1. やっとnemuriさんのレポにたどり着けました。
    私は高校生だったです。ちょっとお姉さん。
    私が元春見たの最後はもう10年前。
    まさに、現実味のない妖精のような存在ですね。
    妖精を見たのですよ。

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  2. >tokageさん
    そうか、あれは妖精だったんだ。
    そりゃあ、妖精をその目で見たら、誰だって感動しますよね。
    ・・・納得。

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